· 

新刊小説『完璧夫婦の城』

『ジュエルっ子物語』とはガラリと雰囲気が異なる犬飼美也妃さんの表紙絵。
『ジュエルっ子物語』とはガラリと雰囲気が異なる犬飼美也妃さんの表紙絵。

 このたび、小説『完璧夫婦の城』をGalaxyBooksより上梓いたしました。実はこのお話、7年前から構想を立てていたものです。ようやく刊行が叶いました。性的マイノリティの中でも「トランスジェンダー」、特に「性同一性障害」と呼ばれる人の存在は随分認知されて来たとは思います。しかし、その当事者の家族、とりわけパートナー(お話の中では「妻」としています。これも意味があります。詳しくは中で。ヒヒヒ)の心理状態はどのようなものになるか。そこを書いてみたかったのです。すると、思った以上に性別に振り回される主人公になっちゃいました(笑)。外側から見ると幸福な妻、心は暴風...。いませんか? こんな妻。いますよね、結構たくさん。「性的マイノリティ」と言うと、ひょっとしたら皆さんから遠い存在と思えるかも知れませんが、性や性別に特化して掘り下げて行くと、その「皆さん」との共通心理になって行くというのが面白いですね。

 

 私自身が性的マイノリティ当事者ということは、意図を持って公開しているのですが(公共性がある環境で存在を見える化しています。当事者の人がアクセスしやすくなるため)、ほとんどの人が「大変ね」「色々乗り越えて来たのでしょう」「すごいね」、さらには「カリスマね」「広告塔ね」なんてお声も(苦笑)。ものすごい大きな困難と冒険が性的マイノリティと思われているようなんですね。私はずっと世間の見方とのずれを感じていました。というのは、私の困難はそこではありませんでした。思春期の頃に克服できなかった「予期不安」体質であり、性的マイノリティについては日常の小さな幸福、それは私の「命綱」ともなっていたのです。その幸福は、皆さんと何ら変わりません。そこのところを作家として詳しく書いて行きたいと考えています。『完璧夫婦の城』の主人公真奈も、性別の暴風雨を受けながら、無意識に小さな幸せを家庭の中で築き上げていました。さて、その結末はいかに♪ 

 

 ちなみに、このカッコいい表紙絵は、絵本『ジュエルっ子物語』でご一緒した犬飼美也妃さんに描いていただきました。犬飼さん、原稿を読み込んでくださり(めちゃくちゃ嬉しかった!)、「アキさんが望んでいるのはこういう感じ?」と見せてくれたのがこの絵でした。主人公真奈のまなざしと赤色のイメージが私の思いとぴったりでゾクゾクしましたよ。犬飼さん、やっぱりすげー! 

 

 7年前と言いましたが、ずっと書いていたわけではなく、何かと後回しになり長らく筆が止まっていたのが、コロナ禍のおかげ(?)で腰を落ち着けてえいやっと書ききることができました。それからも発刊されるまでにも1年経っており、もうこれだけ長くかけると、当初の思いなんて変わってるに違いなく、書いたこと自体が大きなうそをついたようにビクビクしてしまいます。正直読み返すのが怖いです。犬飼さんにたくさん褒めていただき、GalexyBooksの加戸社長にもサポートいただき、ようやく生み出すことができました。皆さま、楽しく読んでいただいたら、ぜひご感想をお寄せくださいませ。楽しみにお待ちしています。

 

☆☆お買い求めは「Amazon」で☆☆

 

表紙がカッコいいから濱田も無理矢理入ってみた。
表紙がカッコいいから濱田も無理矢理入ってみた。