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ゴミ袋の楽しみ


 4年ぶりに町内の夏祭りが開催されました。小さな小さなお祭り。数軒の夜店やいらないものを持ち寄ったバザー。公民館で飲む生ビール150円(味からしてたぶん発泡酒)。こじんまりとしたステージ(公民館の窓から音響をつないでいた)。キラリと垂れ下がるミラーボール。ご近所さんどうしの「のど自慢大会」。なつかしい、なつかしい、なつかしい!

 

 このお祭りで最大のみどころは、大抽選会です。各家庭に配られた番号札を時間までに参加箱に入れておくと、豪華景品(町内では)が当たる権利を得るというものです。

 

 抽選会は夜遅い時間から始まるので、私はとても待っていられず、参加しません。でも、いつも、番号札だけそっと箱に入れに行くのです。それは、番号札と引き換えに「10枚入り45リットルゴミ袋」をもらえるからです(欲しいですよね、このゴミ袋)。もし抽選会で私の番号が当たっても、その場にいなければ他の番号に権利が移るという仕組みです。

 

 今年もいそいそと番号札を入れに行きました。すると、もらえましたよ、4年ぶりに! ゴミ袋。 嬉しかった!! そこには変わらぬ喜びが!

 

 私の夏は、いえ、私は、この町内で暮らし、夏に10枚のゴミ袋をもらえるのを心待ちにする人間なのです。毎年、毎年、同じことの繰り返し。それでも毎年嬉しい。分かりますか。この豊かな生活が。

 

 もらえること自体よりも、このことを心から楽しみにしている自分の心の働きがとても愛おしく思えました。何かを成し遂げないと中々自分のことを認められない私。いえいえ、何かを成し遂げたとしても、ちっとも自分自身を慈しむことができない私。でも、自分の心の動き方、つまり、自分の感性だけは大切だと思えるのだなぁと、再認識しました。